旭化成ホームズが「親と子の財産相続に関する意識調査」を実施したところ、土地・建物・預金・貯金を入れた遺産の総額平均は4743.3万円でそのうち親所有の土地や建物の平均が3047.6万円であることがわかりました。
(参照URL http://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/souzokuzei/report.html/ )
遺産の大部分は不動産です。
そうなると、相続税のほとんどが土地や不動産で現金で相続税を払えない場合があります。
そんな時、どうしたらよいのでしょうか?
次の3つの選択肢があります。
1.相続税の納付を延納する
相続税の支払いは原則として一括で支払うことです。
しかし、一括納付が困難な場合は延滞申請書などの必要書類を税務署に提出して、分割して最長20年間の間に支払うことができます。
ただし、次の条件があります。
・相続税(贈与税)が10万円を超えていること
・延納申請書と担保提供関係書類を期限内に提出すること
・納付することが困難な金額の範囲内であること
・延滞納税に相当する担保を提供できること
ただし延滞納額が100万円以下で、延滞期間が3年以下の場合は担保の提供は不要です。
また担保に該当するものは
・土地
・国債や地方債
・社債や有価証券で税務署長が認めたもの
・鉄道財団や工場財団などの財団
・建物、立木、船舶など保険に入っているもの
・税務署長が認める保証人の保証
です。
また相続税を延納する場合、自分が繰り上げて納めることが可能になった時に繰り上げ返済ができます。
もし、途中で金銭を納めることが難しくなった場合は申告から10年以内であれば途中から物納(不動産など)に変更も可能です。
相続税を延納することによって何年かに渡って分割で支払いが出来るというメリットがありますが、分割支払いの時に発生する利子税があります。もしも、利子税を支払うよりも金融機関でお金を借りた方が、利子率が安い場合は金融機関からお金を借りて一括で相続税を支払った方が安い場合もあります。
そういった場合もあるので詳しくは税理士などの専門家に相談をして、検討してから相続税の延納をするかどうかを判断しましょう。
2.物納制度を利用する
前述したとおり相続税は相続する人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に一括で支払わなければいけません。
そして、一括払いで支払うことが困難な場合は延納の申請が条件に合えば可能です。
延納で支払うことも難しい場合は物納で物を代わりに納めることが許されます。
今までは、物納の許可がおりるまでに10年以上待たされたというケースもありましたが、不満の声が多かったため近年の制度で時間がかかる点は解消されました。
物納の条件は上記の状態であることと、次の順位で日本国内に所在があるものが対象です。
第一順位 不動産 国債 地方債 船舶
第二順位 株式(出資証券を含みます) 社債(短期社債などは除かれます) 証券投資信託または貸付信託の受益証券
第三順位 動産
境界が明らかになっていない土地や権利の帰属について明らかになっていない不動産などは物納として認められません。
物納になる条件や、ならない条件は上記以外でも細かくあり、土地などを物納する場合も地価ではなく相続税評価額になり、かなり安い値段で評価される場合があるので、普通に売却してしまった方がお得なケースもあります。
物納することで不明な点や、気になる点がある場合は専門の税理士などに相談してみましょう。
3.不動産を売って相続税を納税する
土地や建物の不動産を売って、相続税を払うという方法があります。
その場合メリットが2つあります。
・不動産が販売できれば相続税を支払っても現金が残る場合がある
・譲渡所得税が軽減される
ただし、売却は前述した既定のとおり納税を被相続人が亡くなってから10ヶ月以内にしないといけません。
早いうちに売却の準備を進めるようにしましょう。
譲渡所得税が軽減される
「相続税の取得費加算の特例」により、不動産売却時に譲渡所得税が軽減されます。
譲渡所得税は利益に対して税率20%がかかるのですが、この特例を利用すると税金が軽減されます。
譲渡所得税は売却価格から土地の購入費用と譲渡費用、特例を利用することによって相続税も引けるようになるのです。(預貯金に該当する相続税は対象外です。)
その結果、土地の売買価格が3,000万円で相続税も3,000万円であれば譲渡所得税がかからないことになります。
この「相続税の取得費加算の特例」は被相続人が死亡した日の翌日から3年以内の売却であれば利用ができます。
しかし、前述とおり相続税は10ヶ月以内に納めなければいけないのです。
相続税が払えなくて土地を売却する場合は相続人同士で話し合い、協議をして不動産名義の変更をして売却活動に入らないと10ヶ月以内に間に合わない可能性もあります。
その他にも色々な規定がありますが、上記の方法を使って売却をした方が普通に不動産を売却するのよりも納税額が少なくなってお得です。
相続税が払えない場合は上記の3つの方法がありますが、規定や条件が少々複雑なので、困ったら知り合いやお近くの税理士に詳しく相談してみましょう。
専門家なのできっと一番最適な方法を案内してくれることでしょう。
参照URL http://so-labo.com/actions-to-be-taken-3618
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